高齢者がいつまでも自分らしく、そしてより良い生活を送るために、欠かせないサービスとなっている福祉事業。
高齢化率が高い竹田市でも、福祉施設の需要は高まっています。
2000年から直入町長湯を拠点に介護保険事業を運営する「社会福祉法人 孝寿福祉会」は、直入町長湯で特別養護老人ホーム「美晴が丘」、荻町で特別養護老人ホーム「荻の苑」を運営。さらにショートステイや、配食サービス、サービス付き高齢者向け住宅の運営など、地域の高齢者が笑顔で日々の生活を送れるようにサポートする、様々な事業を展開しています。
今回は直入町の「美晴が丘」にお邪魔し、「社会福祉法人 孝寿福祉会」の特徴や、募集する人材について総合施設長の伊藤寿和子さんと、事務局長の工藤朋子さんにお話を伺いました。
“抱え上げないケア”で、利用者にとっても、職員にとっても負担のない施設へ
未だ「きつい・汚い・危険」という、いわゆる3Kのイメージが根強い福祉事業ですが、昨今ではICTの進化や機械化の加速により、働き方も大きく変革。利用者にとっても、スタッフにとっても安心で安全な施設作りが進んでいます。
伊藤さん「『社会福祉法人 孝寿福祉会』では、介護を受ける方にとって安全なケアと、介護する側の腰痛の軽減を両立した「ノーリフティングケア」の取り組みを採用しています。以前は自力で動くことができない方を抱き抱えて車椅子に載せるという行為をしていましたが、これでは介助される側が抱え上げられる際に身構えてしまい、緊張や不安を感じさせていました。しかし「ノーリフティングケア」は、人力ではなく、リフトやスライディングボードを使用して移乗介護を行います。これにより、皮膚剥離や内出血などのトラブルから利用者を守り、さらにはスタッフの身体疲労も緩和することができるようになりました。」
荻町の「荻の苑」は「ノーリフティングケア」に積極的に取り組む高齢者福祉施設として、大分県から先進施設に認定されるなど、利用者とスタッフが安心、安全に過ごせる施設作りを積極的に行っているそうです。
外国人技能実習生も就労し、コミュニケーションが闊達な職場
最新の介護機器などを導入し、スタッフの負担は軽減されているとは言いつつも、ここ5年間は人材不足に悩んでいると工藤さんは話します。
工藤さん「介護の仕事は24時間ですから、早い人は朝7時から、遅い人は21時から翌朝の7時まで夜勤があります。近隣の大分市や由布市から通っている方や、移住をしてきたスタッフもいますが、足りていないというのが現状です。」
そこで取り組んだのが、外国人技能実習生の採用。フィリピンからの実習生を3名採用したところ、施設内では思わぬ良い連鎖が起きたそうです。
工藤さん「フィリピンの方はとてもフレンドリーでよく話をしてくれるので、スタッフ同士のコミュニケーションが深まりました。また、利用者の方とは英語で挨拶を交わしたりして、施設の雰囲気がすごく明るくなったんです。」
実習生と一緒にフィリピン料理を作って、スタッフ全員で食事会を開いたり、城下町で行われる竹灯篭のイベント「竹楽」に一緒に行って地域の人と交流したり。実習生が入ったことで良い化学反応が生まれ、10代から70代まで総勢70名いる職員同士のコミュニケーションが闊達になったと話す工藤さん。今まで以上にスタッフ同士の支え合いが生まれ、日々ディスカッションを重ねながら、より良いサービスの提供ができるようになったそうです。
しかしながら問題は、こうした良い流れを上手く発信できていないこと。
以前はホームページに施設で出した食事についてのブログを書いていたそうですが、最近は人手不足の影響もあり、更新作業に手が回らない状態です。
工藤さん「遠方にいるご家族や、初めて親を預ける方などの不安を払拭するためにも、こんな楽しいことをして過ごしているんだとか、スタッフがこういうケアをしているんだとか、施設の強みなどを見つけて更新していくべきだとは思っていますが、なかなか手が回っていません。発信するということも苦手なスタッフが多いので、第三者の目線で強みを引き出して、魅力を発信してもらえると嬉しいですね。」
介護の仕事は資格がなくても仕事ができるため、フルタイムでサポートしてくれる方も募集しているそうですが、働きながら魅力を知り、それを外部に届けてくれる人材も募集しているといいます。
伊藤さん「人口が減少している中で、10年20年と同じ事業を続けていくことは難しいと思っています。これから様々なことにチャレンジして新しい事業を始めていくためにも、新しい風となる人材が来てくれると嬉しいですね。」
いつまでも自分らしく生きる喜びを感じてもらえるように。
最新の機器を用いながら、24時間365日サービスを提供する「社会福祉法人 孝寿福祉会」。
コミュニケーションが活発な明るい職場で、利用者に寄り添い、笑顔を届ける“新しい風”を待っています。