ロボット技術やICTなど先端技術を活用して、農業経営をサポートするスマート農業。農業人口の減少や食料問題、技術継承の問題など、生産現場が抱える課題を解決し、省力化、高品質生産を目指す農業の新しいスタイルとして注目を集めています。

2019年に創業した「Agriee」は、持続可能な農業の推進と、環境問題解決のために、衛星画像を活用した取り組みをスタート。

2022年に竹田市の移住定住相談窓口である城下町交流館「集」の2階にあるサテライトオフィスへ進出し、竹田市における農業の進化をサポートしています。

世界の食事情の改善に寄与するために

「Agriee」の代表を務める鈴木千夏さんは、元々環境問題に興味があり、土壌微生物の分野で博士号を取得。研究を続けながら、研究の現場と農業の現場が離れていることを実感し、もっと両者を近づけることが農業の未来に欠かすことができないのではと、食ビジネスに特化したコンサルティングの仕事に従事するようになりました。

「コンサルティングの会社では、生産者に対する栽培管理、土づくり、外食企業に対するメニュー開発、コンセプト提案などを行っていました。そこで、作物の生育状況や病気を把握するシステムができれば、生産性の向上や省力化につながるのではと考えたのです。」

スマート農業の活用によって効率的な営農方法を提供するため「Agriee」を立ち上げた鈴木さん。

「世界の人口は増加していますが、一方で使える農地は減少しています。食料不足を防ぐためにも、今、世界的に生産性の向上が必須です。かつては肥料や品種の改良によって生産性の向上を図ろうとしていたのですが、今後はスマート農業のようにデータを活用することが最重要なキーワードになると思っています。しかしながら、その活用が上手く進んでいないのも実情です。畑からは様々な情報が取得できるようになりましたが、この畑でできたものが、どういう風に生育しているのかという結果に当たる部分が客観的に定量的にとられていません。そのデータをしっかり取ることで、世界の農業の生産性向上に寄与できるのではと考えました。」

そこで「Agriee」では、衛星が定期的に撮影した画像から、作物の生育状況や病気を把握するシステム「GrowthWatcher」を開発。

2022年には竹田市にサテライトオフィスを構え、竹田市と共に「GrowthWatcher」を活用した実証実験をスタートしています。

九州で持続可能な農業を提案

現在、2つの農家さんと、農協、振興局と一緒に実証実験を行っているという「Agriee」。鈴木さんが主となって事業運営を行っていますが、関東エリアでの事業も展開しているため、竹田市に拠点を置き、九州の営業担当となってくれる方を募集しています。

「畑の状況を可視化するには、対象の畑で作物を育てた際の実績値が必要です。そのため農家さんにはどこの圃場でいつ何を作っていたのかという過去の情報を入れていただくと、畑の状態を可視化することができます。利用いただいている方にそうしたシステムのサポートであったり、今後『GrowthWatcher』のシステム販売に向けた九州圏内の営業などを担っていただきたいと思っています。」

農家さんや、農協の担当者と密に連絡を取り合いながら、サポートを行うことが主の業務となるため、コミュニケーション能力に長けていること、また農業の知識や興味がある方と一緒に働きたいと鈴木さんは話します。

「農業の知識は勉強しながらでも問題ありません。ただ、興味は持っていないと厳しいかなと感じています。また、システムはまだ実証段階で、色々な可能性を秘めていますので、他のデータと掛け合わせて何か新しいサービスを生み出すなど、アイデアを出してくださる方だと嬉しいですね。」

2023年の3月まで続く実証実験。今はまだ仮説検証を行いながら、システムの改良、よりよいサービスの可能性を探る段階の「Agriee」ですが、これから先、持続可能な農業を実現する、大きな役割を果たしていくかもしれません。

SDGsへの取り組みや、農業への興味がある方、スタートアップの企業で地球が抱える課題を解決し、農業の未来を一緒に切り拓いてみてはいかがでしょうか。