森林を管理し、守り、そして未来へ繋ぐ役割を担う林業。
竹田市は土地面積の約7割を森林が占めており、美しい環境を守るためにも林業は欠かせない仕事となっています。

平成13年、荻町で創業した「堀木材」も竹田市を中心に林業に携わる企業の一つです。「堀木材」は、森林から建築材料や、紙製品などに加工される原木を伐採、丸太にして市場へ卸す素材生産業をメインに、重機が入らない狭い場所にある木を伐採する特殊伐採、環境を守るための植栽作業などを行っています。

また、2021年5月からは、木材の伐採業者ならではの新しい事業もスタートしました。この事業が、地域に新しい雇用を生み、また環境にも優しい取り組みになっていると注目を集めています。

アウトドアブーム×林業で生まれた新事業

今回お話を伺ったのは、専務の志賀和美さん。
「堀木材」は志賀さんのお父様が立ち上げたそうですが、4年前逝去されたのを機に志賀さん夫妻が継ぐことになりました。

営業を主に担当する志賀さんは、
「先代のときは、丸太生産だけを行っていましたが、今後はそれだけでは厳しくなる」と、新しい事業を画策。
雨の日は山での作業ができないことから、雨天でもできる仕事はないかと、薪の生産を始めたのです。

「昨今はアウトドアがブームですし、竹田にもキャンプ場がありますから、端材を転用して薪を作ってみたら良いのではないかと、薪の生産を始めたんです。」

目をつけていた通り、始めてすぐに大量の受注が来る様になったと話す志賀さん。
現在は1日200束生産できるように設備投資を行い、久住町にある「ボイボイキャンプ場」や「くじゅう花公園」など竹田市を中心に販売しています。

また、社員が雨の日に対応するだけでは追いつかなくなり、「たけた農林業サポート人材バンク」を利用。地元農家さんが農閑期に作業を手伝いに来てくれるようになるなど、雇用を創出しています。

「林業は資格が必要ですが、薪を束ねる作業は誰でもできます。高校生でも、農閑期のお手伝いでも、また社員になってくれた方でも、山の作業には向かなかったという場合もありますから、そういう方の受け皿になる事業になっています。」

さらに志賀さんは、この事業が雇用の創出だけでなく、農家さんの新たな収益源になればと続けます。

「原木椎茸の栽培で使用されるくぬぎの木は、直径がおよそ15cmほどと、適切なサイズが決まっています。そのため、それ以上の大きさのくぬぎは使い道がなく、お金にならないという現状があるのです。そこで、私たちはそのくぬぎを買取して、薪にしています。農家さんの収入にもなりますし、捨てられていた木材を利活用できれば地域のためにもなるのではと思っています。」

農家さんにとっても、「堀木材」にとってもメリットのある薪の生産。樹木の伐採時に未活用のまま放置されていた林地残材の解消に一翼を担う事業としても期待されています。

林業だけにとらわれず、“やりたい”を叶える環境を

4年前に代表が交代してからは、薪の事業の他にも、重機では対応できない場所にある台風などで倒れた木や、道路上に張り出した支障木を伐採する特殊伐採や、植栽なども積極的に取り組むようになりました。

「特殊伐採や植栽は社員の“やってみたい”という声がきっかけでした。私たちの会社はまだまだ若い会社なので、林業だけにとらわれず、社員がやってみたいこと、挑戦してみたいことを実現できる環境を作っていきたいと思っています。」

フレックスタイム制や従業員の副業を認可するなど、多様な働き方も導入している「堀木材」。
これからも時代に合わせてさまざまな分野にチャレンジしていくために、一緒に取り組んでくれる人材を募集していると言います。

「現在は上が70代、下は30代の社員が11名働いてくれていますが、現在の人数ではまだまだ仕事量が追いついていない現状があります。ベテランの職人技を受け継ぎ、共に働いていただける若い方が入ってくれると嬉しいですね。」

林業といえば、昔ながらの木こりのイメージがあり、斧を使って作業する姿を想像する方がいるかもしれませんが、現在は作業のほとんどを機械で行っています。
そのため、山で作業をするには免許が必要です。

重機のオペレーターになるには研修などに参加して数年がかりでさまざまな資格取得をしなければいけませんが、チェーンソーや刈払機であれば数日で取得可能。
チェーンソーの資格があれば仕事ができるそうなので、
山での仕事に憧れている方、林地残材の新たな活用や、森林の管理に興味がある方は資格を取得して、飛び込んでみてはいかがでしょうか。