1997年に営業をスタートした「くじゅう高原地ビール村」は、2009年に一度営業を終了し、2011年に「くじゅう水泉郷(すいせんきょう)地ビール村」として再スタートしました。その後、2016年の熊本・大分地震、九州北部豪雨、2020年から続いたコロナ禍など、幾度となく苦境に立たされながらも、今もなお、くじゅう高原仕込みのビールを各地へ届けています。
「うちの会社はいわゆる『真面目な会社』じゃないですよ」。印象的な一言からお話を聞かせてくださったのは「くじゅう水泉郷地ビール村」を運営する、株式会社くじゅう高原開発公社:代表取締役の北原文彦さん。
北原さんがくじゅう水泉郷地ビール村で働くようになったのは8年前のことです。
「私がここへ初めて来たとき、地元の人たちに『ここは何が有名ですか?』と聞くと『う~ん、高原かな』と言ったんです。地元の人たちは『ここには何もない。あるのは高原だけ』と思っているかもしれない。でも裏を返せば、これだけの自然がある、この大自然に恵まれた水があるということなんですよ。こんないいところはないと思っています」
くじゅうの大自然に恵まれた水で仕込んだ特別なビール
前職の自動車メーカーでは九州各地を車で飛びまわっていた北原さん。職業柄、お酒を飲む習慣はありませんでした。
「でもここのビールを飲んでみたら、美味しいと、この味は売れると思ったんです。なぜお酒を飲まない私が美味しいと思ったかというと、水なんです。水が違う。竹田は名水が多いでしょ。だから竹田ではビール、日本酒、焼酎、ワインもつくっている。最近はウィスキーの蒸留所もできた。それだけいい水に恵まれた地だということですよ」
奥がヴァイツェン『ビール王 風』、手前が玄米ビール『南蛮宗麟(なんばんそうりん)』。『ビール王 風』は軽やかでほのかな甘味と、名前のとおり風がスーッと吹きぬけるような爽やかな味わいのビール。『南蛮宗麟』はクリアでスッキリとした飲み口ですが、後味にキリっと苦味を感じられるビールでした。
2011年に「くじゅう水泉郷地ビール村」として再スタートした際、それから5年ほどは国東でビールを製造していた会社が経営権を持っていました。そのときわかったのは、製造工程が同じでも水が違うだけでビールの味も違うことだったそうです。
「国東と久住とでは水の質が違う。また、久住は寒暖の差が激しく、ホップを作るのにも向いている土地です。だから今、久住では少しずつホップの栽培が始まっている。
同じような製造工程で、同じような原料を使っていても、水が違えばビールの美味しさは違う。そこで我々は今、ホップ、麦をこの久住でつくろうと、そして久住の水を使って仕込んだ、すべてが久住・竹田産の『くじゅうペールエール』というビールをつくりたいと考えているんです」
イベントで久住の地ビールを知り、ファンになったという現役大学生とタッグを組んで挑戦中のクラウドファンディング。すべてが久住・竹田産のビールを実現すべく、まずは一人でも多くの人に知ってもらえるようにと始めました。
引用:女子大生と老舗醸造所の運命の出会いと挑戦!大分産地ビールで竹田を盛り上げたい!|CAMPFIRE
くじゅう高原に人を、活気を呼び込みたい
見渡す限りの大自然に磨かれた久住の水。大自然の恵みの水でつくった美味しいビール。味に絶対の自信があるくじゅう高原の地ビールを、あとは多くの人に知ってもらうだけだと北原さんは言います。
「8年前、熊本地震の影響で別府・由布院での売り上げが激減しました。それならば、地震の影響がないところへ売りに行こうと、そのときから県外に出始めたんです。今では久住より福岡での知名度の方が高いんじゃないかな」
現在の取引先は、道の駅竹田、道の駅すごう、別府・由布院、トキハなどの県内はもちろん、ららぽーと福岡、KITTE博多、観光特急「ゆふいんの森」など、福岡での取引も多いのだそう。また、各地のイベントにも積極的に参加し、地道にファンを増やしています。
九州・四国でドッグイベントを企画運営する「わんだふる組織委員会」と「くじゅう花公園」3社でタイアップしてつくった特別ラッピングの『しっぽビール』。売り上げの一部は保護犬・保護猫の医療費などに充てられます。
「今や交通の便もよくなって、車でどこへでも行ける時代ですよね。でも九州の北のほうから来るお客さんはたいてい瀬の本(熊本県南小国町)どまりで、そこから阿蘇へと下りていってしまう。みんな久住をよく知らないからここまで足を延ばさないんですよ。
ところが、イベントで出店したときに、うちのビールを飲んで『美味しい!』と、『これ、どこのですか?』と感動してくれた人たちは、遠くからでもくじゅう高原まで来てくれる。だから大分市内でも、福岡でも、外へ出ることが大切なんです」
自社のビールはもちろん、くじゅう高原を一人でも多くの人に知ってもらうことが、この恵まれた環境を守り、残していく足掛かりになるのではと北原さんは話します。
2024年は秋だけでも、福岡のドッグイベント『わんだふる』、日田の『天領まつり』、竹田『竹楽』などのイベントに出店しました。また、9月10日(くじゅうの日)には地ビール村の敷地内でティラノサウルスレースを開催。今後は『わんだふる』を招致するなど、地ビール村でのイベント開催も視野に入れています。
「時代が変われば人の動きも変わる。小さい枠の中でああやこうやしたって仕方ないと、その動きに合わせてやっていくしかないと考えています」
郷土愛のある人とブルワリーを、くじゅう高原を盛り立てていきたい
くじゅう水泉郷地ビール村では現在、ビールの製造スタッフ・営業スタッフを募集しているのだそう。
「うちは株式会社なので形式としての事業計画はあります。普通の会社なら、サラリーマンは会社の方針に合わせて限られた仕事しかできない場合も多い。けれど私は前職で、自分の考えたことが『サラリーマンの世界』で実現できた。それが楽しかった。だからうちのスタッフにも、自分のアイデアをなるべく実行させてやりたいんです」
前職では斬新なアイデアをいくつも実現させてきた北原さん。スタッフさんたちには自由な発想でアイデアを出し、そのアイデアを何度も練り直しながら実現させていってほしいのだそうです。
「給与にも上限はありません。50万欲しかったら50万稼いでくれればいい(笑)。その人に合った仕事をのびのびと、それでいて一つの事にとどまらず、いろんな事に興味をもって挑戦してもらいたいですね」
製造責任者で取締役の清水さん。「ビールづくりは、扱っているのが『生き物』なんですよ。だからシビアな面もあるし、大変な面もある。でも、だからこそ面白いんです。自分の育てたものが市場に出て、イベントに出向くとお客様から直接言葉をいただける。すごく満足感がありますね」。
北原さんは募集する職種について「製造でも、営業でも、経理でも、なんでも!」とおっしゃっていました。特に求めているのは、地元竹田出身の方なのだそうです。
「久住の恵まれた環境を守ろうと、竹田を良くしていきたいという郷土愛を持っている人に働いてもらいたい。まちづくりというのはすべて『人』です。郷土愛を持った人がいればこの会社ももっと発展できる。私が今、目指しているのは引退(笑)!郷土愛を持っている人に引き継いで、引退したいね」
九州でも老舗のブルワリー、くじゅう水泉郷地ビール村。一度は絶えかけたその味を守り、新たな展開に向けて少しずつ挑戦を重ねています。ぜひ一度現地を訪ね、久住のビールを味わってみてください。
会社名 | 株式会社くじゅう高原開発公社 |
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所在地 | 大分県竹田市久住町白丹7575-1 |
業種 | 製造業 |
事業内容 | 地ビールの製造ならびに販売事業。ビアレストランの飲食営業と売店営業。地ビールの業務用販売業務。 |
募集職種 | ビール製造員、営業など |
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雇用形態 | 正社員・パート |
仕事内容 | 地ビール工場でのビール製造業務の見習い、および配達業務。 |
試用期間 | 3ヵ月 |
給与 | 170,000円~ |
勤務時間 | 9:00~17:00 |
年間休日数 | 105日 |
手当・補助 | 交通費500円/日 |
福利厚生 | 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金 |
求める人物像 |
郷土愛がある人。 真面目で積極的な人。 人と話ができる人。 |
お問い合わせ |
人事担当:北原 0974-76-2511 |